- 株式譲渡なら、借入は会社に残り、保証は買い手に引き継がれるのが原則
- 解除を決めるのは金融機関。契約書に期限と補償を入れておく
- 事業譲渡では借入が売り手の会社に残るため、代金で完済できなければ保証も残る
株式譲渡なら、保証は買い手に引き継がれる
株式譲渡では会社そのものが買い手に移るため、会社の借入金はそのまま会社に残ります。借入に付いている経営者の個人保証(連帯保証)は、最終契約で「クロージングまでに、または直後に、売り手の保証を解除し買い手(またはその代表者)が新たに保証する」と定めるのが標準です。
ただし、保証を解除するかどうかを決めるのは金融機関です。契約書に書いただけでは外れず、金融機関が買い手の信用力を審査し、保証人の変更(または保証なしへの切り替え)に同意して初めて解除されます。買い手が上場企業や財務の良い会社であれば、通常は問題なく承諾されます。
経営者保証ガイドラインという後ろ盾
2014年から運用されている「経営者保証に関するガイドライン」では、事業承継時に前経営者の保証を安易に残さないことが金融機関に求められています。2023年以降は金融機関が保証を求める際に理由を説明する義務も強化され、承継時に保証を外すことは以前より格段にやりやすくなりました。
金融機関との交渉では、このガイドラインを根拠に「承継に伴い保証を解除してほしい」と申し出ます。仲介会社が買い手側と連携して金融機関に説明するのが一般的です。
事業譲渡の場合は、借入が会社に残る
事業譲渡では事業だけが買い手に移り、会社(と借入金)は売り手の手元に残ります。譲渡代金で借入を完済できれば保証も消えますが、完済できない場合は保証が残ります。借入が多い会社ほど、株式譲渡のほうが売り手に有利になりやすい理由のひとつです。
解除が遅れる・残るケース
クロージング後に保証解除を「追って手続き」とした場合、買い手側の対応が遅れて数か月保証が残ることがあります。契約書で期限を切り、解除できなかった場合の補償を入れておくと安全です。
また、売り手が譲渡後も役員として残る場合、金融機関が引き続き保証を求めることがあります。残留期間と保証解除の時期は別々に交渉してください。役員借入金(社長からの貸付)は保証の話とは別で、返済か放棄かを決める必要があります。
まず、会社の価格と借入の関係を把握する
個人保証の問題は、借入額と会社の価格の関係で大きく変わります。事業価値が借入を大きく上回っていれば、買い手も金融機関も承諾しやすい。逆に借入が価格を上回ると、株式価値がほぼゼロになり、保証の扱いが交渉の中心になります。企業価値シミュレーターで現預金・有利子負債を入れると、ネットデットを引いた株式価値が分かります。
よくある質問
保証が外れるまで、どれくらいかかりますか?
買い手の信用力と金融機関の審査次第ですが、クロージングと同時か、遅くとも1〜3か月以内が一般的です。契約書で期限を定めることをおすすめします。
売却後も社長として残る場合、保証は外れませんか?
外せる場合が多いですが、金融機関が引き続き求めることもあります。残留の役職(代表か非代表か)と保証解除を分けて交渉してください。
借入が会社の価格より多い場合はどうなりますか?
株式価値はゼロ近くになりますが、買い手が借入ごと引き受けて保証を引き継ぐことで、売り手は保証から解放されます。廃業して個人保証が残るより有利なケースが多くあります。
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