- 廃業では設備・在庫が簿価を大きく下回り、退職金・原状回復・税金で手取りは純資産の数分の一に
- 売却は分離課税約20%で、従業員・取引先・個人保証も引き継がれる
- 比較の出発点は「売ったらいくらか」。決断の1〜2年前から動く
廃業で手元に残る金額
貸借対照表の純資産は「事業を続ける前提」の簿価です。廃業すると資産は個別に処分され、その多くは簿価を大きく下回ります。
| 廃業のモデルケース(純資産50,000) | |
|---|---|
| 機械・設備(簿価20,000)の処分価額 | 4,000 |
| 在庫(簿価10,000)の処分価額 | 2,000 |
| 売掛金・現預金(30,000) | 30,000 |
| − 負債の返済 | −10,000 |
| − 従業員の退職金(割増含む) | −8,000 |
| − 事務所・工場の原状回復費用 | −3,000 |
| − 廃業手続き・専門家費用 | −1,000 |
| 清算後に残る金額 | 14,000 |
| − 残余財産分配にかかる税金(配当所得・概算) | −4,000 |
| 手取り(概算) | 10,000 |
単位は千円。純資産5,000万円が、手取りでは1,000万円前後になります。残余財産の分配は配当として総合課税されるため、税率も高くなりがちです。
売却で手元に残る金額
同じ会社を、営業利益1,000万円(調整後)、営業権2年で売却する場合。
| 時価純資産(設備・在庫の評価減を反映) | 40,000 |
| + 営業権(10,000 × 2年) | 20,000 |
| 株式譲渡価格 | 60,000 |
| − 仲介手数料(例) | −5,000 |
| − 株式譲渡益課税(約20.315%・取得費を差し引き概算) | −10,000 |
| 手取り(概算) | 45,000 |
単位は千円。株式譲渡は分離課税で税率が約20%と低く、従業員の退職金や原状回復も買い手が引き継ぎます。同じ会社で、廃業1,000万円に対し売却4,500万円。差は4倍以上です。
お金以外の違い
売却では従業員の雇用が続き、取引先との関係も残ります。経営者の個人保証は、株式譲渡に伴い原則として解除されます。廃業では従業員は職を失い、個人保証は借入を完済するまで残ります。
一方、売却には買い手を探す時間(通常6か月〜1年)と、その間の秘密保持が必要です。また、買い手が見つからない可能性もあります。売却を選ぶなら、廃業を判断する1〜2年前には動き始める必要があります。
まず、自社の売却価格を知る
比較の出発点は「売ったらいくらか」です。企業価値シミュレーターで純資産・利益・現預金・借入を入れると、3手法の株式価値レンジが表示されます。廃業の試算と並べれば、どちらを選ぶべきかの材料になります。
Tsugiyaでは、売却だけでなく廃業・親族内承継・従業員承継も含めて中立に比較する無料相談を行っています。
よくある質問
廃業のほうが良いケースはありますか?
事業自体に継続性がなく、資産の大半が現預金や換金しやすい不動産で、従業員もいない場合は、廃業のほうが手続きが早く手取りも変わらないことがあります。ただし多くの中小企業では売却のほうが有利です。
売却の税金は本当に20%ですか?
個人株主が株式を譲渡した場合、譲渡益(売却価格 − 取得費 − 費用)に対して所得税・住民税あわせて20.315%の分離課税です。事業譲渡の場合は法人税がかかるため、スキームによって税負担が変わります。
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