- 赤字でも時価純資産が価格の下限になり、ゼロにはならない
- 役員報酬や一過性損失を戻すと実態は黒字、というケースが多い
- 許認可・人材・顧客基盤・立地があれば買い手はつく。廃業より手取りが多いことも
赤字でも価格がゼロにはならない理由
会社の価格は「時価純資産+営業権」で考えます。営業権は利益がなければゼロですが、時価純資産は残ります。土地・建物・設備・現預金から負債を引いてプラスなら、それが価格の下限です。
さらに、買い手にとっての価値は決算書の利益だけではありません。許認可、有資格者、顧客リスト、立地、設備、ブランド。買い手が自力で揃えるには時間とお金がかかるものは、赤字でも価格がつきます。
実は黒字、というケース
赤字の原因が「オーナーの役員報酬が高い」「節税目的の保険料や経費が多い」「一時的な損失があった」であれば、正常収益力の調整をすると黒字に転じます。営業赤字300万円でも、役員報酬2,000万円を1,000万円に直せば実態は700万円の黒字です。
買い手のデューデリジェンスではこの調整が必ず行われるので、売り手も先に把握しておくべきです。企業価値シミュレーターでは、営業利益をマイナスで入力し、詳細モードで役員報酬の適正水準を入れると、調整後の価格を確認できます。
買い手がつく5つの条件
第一に、許認可や登録があること。建設業許可、介護の指定、派遣許可、酒類販売免許、旅館業許可などは、買い手が新規に取るより会社ごと買うほうが早い場合があります。
第二に、人材がいること。人手不足の業種(建設・運送・介護・IT・製造)では、赤字でも「技術者・ドライバー・有資格者ごと」の買収ニーズがあります。
第三に、顧客基盤や契約があること。同業の買い手は、自社の商品を既存顧客に売ることで利益を出せます。
第四に、設備・立地・不動産に価値があること。工場、店舗、倉庫の立地や、自社所有の不動産は事業と切り離しても価値があります。
第五に、赤字の原因が「買い手なら解決できる」ものであること。仕入コストの高さ、営業力不足、間接部門の重複などは、買い手のグループに入れば改善できます。
廃業と売却、どちらが手元に残るか
廃業を選ぶと、設備は二束三文で処分され、在庫は廃棄、従業員には退職金、事務所は原状回復費用がかかり、借入は個人保証で残ります。純資産が5,000万円あっても、廃業で手元に残るのは数分の一ということが多いのです。
売却なら、設備も在庫も従業員も「事業として」引き継がれ、個人保証も原則として解除されます。赤字の会社でも、廃業より売却のほうが手取りが多く、従業員の雇用も守れるケースは多くあります。廃業と売却の手取り比較で具体的に試算しています。
債務超過の場合
負債が資産を上回る債務超過でも、事業に価値があれば「事業譲渡」で事業だけを売却し、その代金で債務を整理する方法があります。金融機関との調整が必要になるため、早めに専門家へ相談してください。時間が経つほど選択肢は減ります。
よくある質問
2期連続赤字ですが、相談する意味はありますか?
あります。赤字の原因が構造的なものか、役員報酬や一時的損失によるものかで評価は大きく変わります。まず正常収益力を確認し、許認可・人材・顧客基盤の価値を整理することから始めます。
赤字の会社の売却価格の目安は?
時価純資産が下限です。役員報酬調整後に黒字なら、その利益に営業権年数を掛けた額が上乗せされます。許認可や人材に価値がある場合は、純資産を上回る価格がつくこともあります。
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