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株式譲渡と事業譲渡、どちらで売るべきか|税金・許認可・負債の違い

会社を売る方法は大きく2つ。会社ごと売る「株式譲渡」と、事業だけを切り出して売る「事業譲渡」です。中小企業の売却では8割以上が株式譲渡ですが、事業譲渡が有利なケースもあります。税金・許認可・負債・従業員の4点で比べます。

株式会社Tsugiya M&A仲介の実務より | 更新 2026-09-20
この記事の要点
  1. 売り手の税金は株式譲渡20.315%、事業譲渡は法人税+個人課税の二重課税
  2. 許認可・契約・従業員は株式譲渡ならそのまま、事業譲渡は個別に移す
  3. 不動産の切り離しや簿外債務の遮断が必要なときだけ事業譲渡を検討

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株式譲渡事業譲渡売り手の税率約20%(分離課税)法人税約30%+個人課税許認可そのまま再取得が必要従業員雇用契約は継続個別に同意・転籍簿外債務買い手が引き継ぐ引き継がない
2つのスキームの違い
項目株式譲渡事業譲渡
何を売るか会社の株式(会社ごと)事業に必要な資産・契約・従業員
売り手の税金個人株主:譲渡益に約20.315%(分離課税)会社に法人税(約30%)、その後個人へ配当・退職金で二重課税
許認可会社に紐づくので原則そのまま買い手が再取得(時間がかかる)
借入・個人保証会社に残り買い手が引き継ぐ。保証は解除交渉売り手の会社に残る。代金で返済
従業員雇用契約はそのまま継続個別に同意を得て転籍
簿外債務買い手が引き継ぐ(表明保証で対応)買い手は引き継がない
手続き比較的シンプル資産・契約ごとに移転手続き

税金:株式譲渡が圧倒的に有利

個人が株式を譲渡した場合、譲渡益(売却価格 − 取得費 − 費用)に対して所得税・住民税あわせて20.315%の分離課税です。1億円で売却し取得費が1,000万円なら、税金は約1,830万円、手取りは約8,170万円。

事業譲渡では、譲渡益に会社の法人税(実効税率約30%)がかかり、その後、残った現金を個人が受け取るときに配当課税(総合課税で最大約50%)や退職金課税がかかります。手取りは株式譲渡より大きく減ります。売り手にとっては、原則として株式譲渡が有利です。

許認可と契約:株式譲渡なら「そのまま」

建設業許可、介護の指定、派遣許可、旅館業許可、酒類販売免許などは会社に紐づいています。株式譲渡なら会社が変わらないので許認可はそのまま(一部、役員変更の届出が必要)。事業譲渡では買い手が新たに取得し直す必要があり、数か月かかることもあります。取引先との契約や賃貸借契約も同様で、株式譲渡なら原則そのまま、事業譲渡なら個別に相手の承諾が必要です。

写真はイメージです

事業譲渡が有利なケース

それでも事業譲渡を選ぶのは、①会社に売りたくない資産(不動産・有価証券)や別事業があり、切り分けたい、②買い手が簿外債務・過去の税務リスクを引き継ぎたくない、③会社に多額の繰越欠損金や借入があり、株式価値がほぼゼロで事業だけに価値がある、④複数の買い手に別々の事業を売る、といった場合です。

①の場合、先に不動産を会社から切り離す(会社分割で分ける)ことで株式譲渡にできることもあります。スキームは税理士と仲介会社で早めに設計してください。

実務でよくあるケース「会社に個人の不動産や保険がたくさん入っている」オーナー企業は、売却の1〜2年前にそれらを整理しておくと、株式譲渡で売れる状態になり、手取りが大きく変わります。

価格と手取りを、まず把握する

スキームの選択は「手取り」で決まります。企業価値シミュレーターで株式価値の目安を出し、税金と手取りの計算で株式譲渡の手取りを確認してください。事業譲渡との比較はご相談時に個別に試算します。

よくある質問

株主が複数いる場合はどうなりますか?

株式譲渡では全株主から株式を買い取るのが通常です。名義株や所在不明の株主がいると手続きが止まるため、事前に整理してください。

赤字で債務超過の会社でも株式譲渡できますか?

可能ですが、株式価値はほぼゼロになります。買い手が借入ごと引き受けるか、事業譲渡で事業だけを売って代金で債務を整理するかを検討します。

事業譲渡なら消費税がかかると聞きました。

はい。事業譲渡では、譲渡資産のうち課税資産(建物・設備・のれん・在庫など)に消費税がかかります。株式譲渡は非課税です。

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