- その他の業種のEBITDA倍率は3.5〜6.0倍、営業権は利益の2〜5年分が実務レンジ
- 利益の安定性(3期の推移)と、営業利益率
- 社長の属人性が高いほど営業権年数は短くなる
相場の見方:なぜ「3.5〜6.0倍」なのか
非上場の中小企業は、上場企業の類似会社倍率よりも低い水準で取引されます。株式をすぐに換金できない「非流動性」と、規模が小さいことによる事業リスクが織り込まれるためです。その他の業種の場合、業界の平均的な成長性、参入障壁、属人性の傾向から、EBITDA倍率は3.5〜6.0倍、純資産に上乗せする営業権は実態利益の2〜5年分がレンジになります。
重要なのは、レンジのどこに位置するかは会社ごとの「質」で決まるという点です。同じ営業利益3,000万円でも、下限と上限では株式価値が1.5〜2倍違います。以下の評価ポイントは、その位置を決める要因です。
買い手は誰か
同業・周辺業種の中堅企業、地域の有力企業、投資ファンド、事業承継目的の個人投資家。買い手の種類によって重視する点が変わるため、「誰に売るか」で価格は変わります。
評価を押し上げるポイント
- 利益の安定性(3期の推移)と、営業利益率
- 純資産の厚みと現預金・借入のバランス
- 社長以外に事業を回せる人材の有無
- 顧客の分散と契約の継続性
ディスカウント要因
- 社長の属人性が高いほど営業権年数は短くなる
- 特定顧客への依存(30%超)はディスカウント要因
- 簿外債務・退職給付債務は時価純資産で引かれる
計算例:その他の業種・売上3.00億円の会社
売上高300,000千円、営業利益20,000千円、減価償却費5,000千円、役員報酬18,000千円(承継後の適正水準10,000千円)、純資産80,000千円、現預金50,000千円、有利子負債70,000千円のモデルケースで試算します。
| 正常収益力の調整 | |
|---|---|
| 営業利益 | 20,000 |
| + 役員報酬の適正化(18,000 − 10,000) | 8,000 |
| 調整後営業利益 | 28,000 |
| + 減価償却費 | 5,000 |
| 調整後EBITDA | 33,000 |
| 純資産+営業権法 | |
| 純資産 80,000 + 調整後営業利益 × 2年 | 136,000 |
| 純資産 80,000 + 調整後営業利益 × 3年 | 164,000 |
| 純資産 80,000 + 調整後営業利益 × 5年 | 220,000 |
| EBITDA倍率法(ネットデット 20,000) | |
| EBITDA × 3.5倍 − ネットデット | 95,500 |
| EBITDA × 4.5倍 − ネットデット | 128,500 |
| EBITDA × 6.0倍 − ネットデット | 178,000 |
この会社の株式価値の目安は 1.28億円 〜 1.64億円(各手法の中央値)。役員報酬の適正化だけで調整後利益が8,000千円増え、営業権法では中央値で24,000千円分、価値が上がっています。単位:千円。
売却前にできる3つの準備
- 3期分の決算書と月次試算表を整備する
- 社長の業務を棚卸しし、権限委譲を進める
- 主要顧客との契約を書面化する
準備には1〜3年かかるものもあります。売るかどうか決めていなくても、いまの評価額と「どの要因で下がっているか」を知ることが、承継の選択肢を広げます。
その他の業種の売却でよくある質問
自分の業種が一覧にない場合は?
近い業種を選ぶか「その他」で算定してください。面談では業種特有の評価ポイントを踏まえて個別に試算します。
従業員数名の小さな会社でも対象ですか?
対象です。中小企業M&Aの多くは従業員10名以下で、純資産+営業権法での評価が中心になります。
その他の業種の売却相場、自社の場合は?
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